元気

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 新入生が入って来た。チューター制度の学生に,今年も十人弱が割り当てられたので,数人ずつのグループにして,グループごとにゼミ室やら実験室やらを案内して回るという毎年恒例の行事を行なった。
 そうしたところ,S和先生のゼミ室にお菓子があることに目を付けた女子学生たちがいた。その様子を悟ったS和先生がそのお菓子を勧めてくださると,その女子学生たち,何と「みんなの分もいただいていいですか?」とのご質問を。いやあ,S和先生のゼミ室には常にお菓子があるけれども,新入生がそれを所望したのは小生の経験上初めてであった。もちろんS和先生がその要望を拒絶するはずもなく,早速,女子学生たちは全員分のお菓子をあれこれ選んで,さりとて,その間にS和先生のゼミのことなどを尋ねるでもなく,他のグループが待っている小生のゼミ室へ帰って行った。
 小生のゼミ室に戻ると,頂いてきたお菓子の話を他の学生に説明した挙げ句,「ああ,先生の分を頂いてくるのを忘れました」とのこと。「私はいらないけど,"先生はいりませんか?"と尋ねないなあ,と思っていたよ」と返したところ,別の女子学生から「先生,私が今もらったのにはお菓子が2枚入ってますから,仲良く半分ずつにしましょう!」と打ち返された。・・・私はお菓子はいらないと言ってるでしょうに。それに何故,今日会ったばかりの君と"仲良く半分ずつ"食べにゃならんのだ?オレはジョリーか?・・・などということは言っても詮無いことなので,笑いながら礼だけ言ってその場は終わった。
 で,お菓子も食べ終えて考えることもなくなったのか,「先生,何歳ですか?」とのご質問が。そこで「何歳に見える?」と返したところ,「わかりません」という素っ気ない返事が。そこで,「そうだよね。君らぐらいの年齢だと,私ぐらいの年齢の人たちの年齢ってわからないよなあ。私は四十○歳だよ(一応,当欄では隠しておきましょか)」と答えたところ,「はあ。で,どういうリアクションをとればいいんですか?」との返事が。・・・そんなこと,知らねぇよ。と言うか,年齢が知りたいと言うから答えたまでのことで,別にどんなリアクションであってもかまやしないよ・・・などということを,今度は我慢できずに言ってしまった。小生,人間がまだまだできていないと反省するばかりである。
 そんなわけで,どうも小生に割り当てられた新入生にたまたま元気のいい人たちがいただけのようだが,どうであれ,元気のいいことはいいことだ。その元気の良さを保ちつつ,大学生活を送ってもらいたいものだと思った次第。

 でも,そういう新入生に早速実験に参加してもらってデータを取った小生も,元気の程度においては負けてはいないかもしれない。
 男もすなるCS分析といふものを,授業評価アンケート・データに対してしてみたぜよ(文の出だしの雰囲気に文末を合わせたら,こんなことになってしまったが,面倒なので以下ではやめる)。
 CSというのはcustomer satisfactionの略らしいが,大学の学生はcustomerというよりはclientだろうな。ま,どちらでもよいことだが。
 で,ちょこちょこっと調べたところによると,CS分析というのは,「全体的な満足度」との相関が高く,しかしながら現時点において得点の低い評価項目を見つけ出すことを目的としているらしい。言い換えると,改善の余地が大きく,かつその改善が全体的な満足度を高めるのに資するような項目を見つけて,まずは,その評価の底上げを図りましょう,ということらしい。
 それでもって,大学で取っている(取らされている?)授業評価アンケートにも「全体的な満足度」と個別の評価項目とがあるので,最も簡単そうな方法でCS分析をやってみたという次第。評価者の人数が多い方がよいかと思い,教養科目の心理学のデータを使った。


 出ました。最も改善すべきことは「学習意欲をかきたてる」ようにすることらしいです。その次は「授業をわかりやすく」することです。
 う〜む。どうしたら学生の学習意欲をかきたてることができるかがわかっていれば,私はとっくに教育産業界で会社でも起こしてゼニ儲けしているわな。少なくとも認知心理学なんて研究してないで,教育心理学の大家になっているわな。それがわからないから,幼稚園・小学校から大学まで数多のセンセイたちが苦労しているのでしょうに。
 それとは別に,学生の学習意欲をかきたてるようにセンセイ側が努力せねばならないのかとか,大学の授業をわかりやすくすることは本当によいことなのかとか,というようなところにも議論の余地はありますわな。


 まぁ,CS分析なるものを実際にやってみて,ガイロンのように評価人数の少ないデータであっても結果はあまり変わらないことや,アンケート用紙の最も左側の選択肢をひたすら選んでいる学生などを外したり,出席率の低い学生を外したりしても結果はほとんど変わらないことがわかった。私が用いた方法では,分析の途中で,間隔尺度(らしき)変数を順序尺度の変数に落としているので,さもありなんという感じではあるが。
 そうそう,この前,とある会議で,「学生はテキトーに回答するので,授業評価アンケートは信用できない」旨の発言をされている先生がいらっしゃったが,テキトーな回答をしない人ばかりが参加した調査などありえないので,テキトーに回答している人がいることを前提に,それでも真実に近づけるように調査法・統計法のワザが発展してきていることは,案外,あまり多くの人には理解されていないのかもしれない。


 まぁそんなわけで,まとめると,授業評価も教育心理学も(日本の)大学も,みんなみんな夜明けは遠いぜよ!

まっくら

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 個人的に最近のビッグニュースは,「暗黒物質を観測したかもしれない」である。論文と同様,"〜かもしれない"というフレーズは涙を誘うが,それはともあれ,ダーク・マターやらダーク・エネルギーというものは,我々の知っている素粒子よりもたくさんあるらしいので,それらダークなモノがダークでないモノに影響を与えることが確認されれば,これは面白い。

 従来,「神が降りて来た(悪魔が取り憑いた)」とか「宇宙人に操られている」とか「脳に埋め込まれたチップによって動かされている」と表現されてきたようなことが,実は暗黒物質の影響であったりするかもしれない。あるいは,暗黒エネルギーが,人間の(あるいは脳の)ランダムな(あるいは非線形的な)振る舞いの一因かもしれない(そんなコトを仮定しなくても非線形性は創発されるが)。

 もうちょっと日常的なコトバに引き寄せれば,「魂」などというモノも実はダークなモノかもしれない。そうすると,将来的には魂が科学的に検討可能になるかもしれない。この考えは,ガイロンを受けている学生の多くには朗報となろう。なにせ,授業の当初に77名の学生が回答したアンケートによれば,「この世に魂は存 在すると思う」学生は11名,「ややそう思う」学生は40名おり,「そう思わない」学生は7名しかいなかったのだから。

 ま,魂の実体がわかったからと言って,心のコトがわかったことにはならないので,私としては魂が科学的実体であろうがなかろうがどちらでもよいのだが,上記のアンケート結果を知った頃に感じていたお先真っ暗感が,暗黒物質観測のニュースによって多少は払拭された。


 そうそう,ダーク・マターやダーク・エネルギーと聞いて,Darth Vaderを思い浮かべてしまっているそこのあなた!あなたは私の仲間です。イヤかもしれませんが。

お尻に火

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  感謝祭も終わり,秋も深まって来た。もうすぐ12月だ。

 もうすぐ12月ということは,授業も残りあと少しということだ。嬉しい反面,残りの回数で予定していた話を全部できるかを算段せねばならない時期になって来たということだ。つまり,尻に火がついてきたということ。

  ガイロンは,先週から「心と脳」をテーマに,ミラーニューロンやら自由意志やらの話をした上で,心身問題までやってきた。今週は,心身問題の観点からゲシュタルトやら行動主義やらの話をした上で,「心理学は成立しうるか?(=心を科学的・論理的に理解することは可能か?)」ということについて考えてくる ようにという宿題まで出した(とは言っても,ちゃんと考えてきたかどうかのチェックをするわけではないが)。しかし,このあたりのややこしい話はもうそろそろ終わりにして,次に遺伝の話をしたい(ということは環境・経験の話もしたい)のだが,時間が足りるかなぁ。

 ガイロンは,先週と今週,ロボットの話。たぶん学生が思っているよりもロボット開発が進んでいること,日本人がロボット好きなこと, アシモフの三原則,フレーム問題などを話した。どうもうちの学生は,よく言うと純粋・素朴,悪く言うと勉強不足で,心理学において,モデルを構築して計算機シミュレーションを行なうというような研究がなされていることをあまり理解していないようなので,プロダクション・システムやらニューラル・ネットやらの話も少しばかり。「こんなことは認知心理学の授業で教わることだろ!」と思うわけだが,その授業担当は私自身なので,天に唾するようなものだ。

  それは兎も角,学生に考えてもらいたいことの中心は,ロボット(やボノボ)がこの先どうなるかということではなく,人間を他の生物やロボット(少な くとも現在あるロボット)と分けるモノ・コトは何か,ということである。もう少しだけ心理学っぽく言えば,「人間らしさ」とは何か,またそれを私たちはどのようなメカニズムでもって感知しているのか,ということであるのだが,わかってもらえたかなぁ。もちろん,これらの疑問に対する答えの方は容易にわかるものではない。私自身もよくわからない。わからないから考えるのだし,わからないから考えることが楽しいのだ。もし,わからないからツマラナイと思うようになっていたら,それは日本の教育システムによって培われた,誤った信念と言うか情動反応なので,なるべく早く捨て去るように努力した方が良いと思う。

元気そうでなにより

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 今週のガイロンは先週に引き続き動物の話。あまりに下等な動物を引き合いに出しても学生さんはピンと来ないようなので,サルの話。サルと言ってもmonkeyではなくape。"Planet of the apes"のape。中でも,二足歩行の得意なボノボの話。

  ボノボと言えば,漢字みたいなレキシグラムを操るカンジくんと,能力が半端じゃないパンバニーシャさん。お二方の英語のリスニング能力はどのぐらいなのだろうか?TOEICやTOEFLで測られたことはあるだろうか?いずれにせよ小生などは,お二方の足下にも及ばない。彼らの話は流石に学生さんにもインパクトがあったらしく,「そのうち,サルとヒトとが結婚したりしちゃうんじゃないでしょうか?大丈夫でしょうか?」とか,まさに「Planet of the apesのようになっちゃうんじゃないでしょうか?」というような心配を抱く者もいた。「大丈夫でしょうか?」と尋ねられても小生もよくわからないが, まぁそんなことになったとしても,500万年とかそういう単位の未来のことだろうから,私たちが心配しても仕方がない,という話もした。

  小生の知っているカンジ君とパンバニーシャさんは,かれこれ10年ほど前のことなので,今も達者でおられるのか心配していたが,先ほどインターネットで検索したら,お二方ともお元気にアイオワで暮らしておられるようで,なによりである。Sue博士もお元気そうでなにより(お三方との面識は全くないが)。


 授業の方は,動物の話ばかりもしていられないので,来週はロボットの話。で,今週はその前振りで,1年ぶりにアイボ君に登場してもらった。バッテリーが完全に無くなっていたが,一晩充電したら何の問題もなく動いてくれた。こちらも元気そうでなにより。

近づく

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 あまりに忙しくて,ガイロンについて書いている暇がなかった。別のブログでは既に書いたことだが,忙しさの主たる要因はカケンにあるのだが,これ以外にも結構大きなあれやこれやがあった。先週の木曜日には「シティカレッジ」という,いわゆる公開講座のようなものが学外(袋町)であり,1コマ話さねばならなくて,これの準備も大変であった。何せ,私に割り当てられたテーマが「漢字から見る日本の現在」というもので,どう考えても心理学的な話のしようがない。なので,例によってテキトーな話をしてしまった(そのこと自体は得意とするところではあるが)。

 テキトーな話と言えば,元に戻ってガイロンなのだが,先々週はオリンピック開催都市の選出方法の話をした。と言うと,「何のこっちゃ?」という感じだが,心理学が得意とするとこ ろの4段階とか5段階の評価をもとにした際に,仮に東京に対する平均評定値が他の都市に対して統計的有意差をもって高かったとしても,今回の選出方法では東京が選出されないことも十分にありうるという話をした。オリンピックをどこで開催するかはどうでもよいことで,要は方法が変われば結果も変わりうること,真実を知るための"最善"の方法などないこと,だから自分が用いる方法に自覚的でなければならないことを話した。話の流れから(小生にとっては当然の帰結として),アロウの不可能性定理の話もした。全然,心理学ではない。

 流石にそれではいけないかと思い,先日も書いたように,現代心理学がよって立つところの"科学"の話もするべと思い,帰納的推論やら反証可能性やらの話を始めてしまった。で,これも行き着く先は,相対性理論やらシュレーディンガーやら(ネコの話をしている暇はなかったが)を経由して,ハイゼンベルクの不確定性原理やゲーデルの不完全性定理なわけで,やっぱり,全くもって心理学ではない。学生の大多数は,まさに"何のこっちゃ?"という感じだったかもしれない。まぁ,こちらだってこれらのことについてよく理解できていないのだから,さらっと流しただけではあったのだが,授業後の感想には,「大学の心理学の先生って,物理学も知ってなければいけないんですか?」というような質問もあって,学生の"何のこっちゃ?"ぶりがよくわかる。

 そして先週と今週は(おそらく,来週の一部も)動物の話。動物の精神活動はどの程度ヒトと類似しているのか,あるいはヒトの精神活動はどの程度その他の動物と類似しているのか,について考えた上で,ヒトとその他の動物の違いについて考えてもらえればと思っている。動物と言っても,心理学ではおなじみのラットやマウスばかりではなく,ハテナの話も(ハテナは植物か?),ミツバチの話も出て来た(ちなみに,先週は,"心"について真剣に丁寧に考えているカエルくんとネズミくんの絵本の話もした)。当然に少しだけ進化論の話もした。このあたりは,SS見先生やN西先生の授業でも出てくる(出てきた)かもしれないが,それはそれでよかろう。

 とまれ,ゲーデルに比べれば,ダーウィンはかなり心理学に近づいたと思うのだが,どうだろうか?

 昨日は,先週からあっという間の1週間で,ガイロンの2回目であった。で,早速,期末レポートの課題を提示してみた。「提示してみた」というのは,これほど早くに出したことはないので,今後どんなことになるのか予測できないからである。ちなみに,2回目にして話すことがなくなったので,レポート課題を出すことで時間をつぶしたわけではない。なにしろ,先週は話したかったことの半分も話していないので,結局のところ,昨日はその続きで終わってしまった。つまり,授業のイントロダクションの第2弾ということ。まぁ,"イントロ"的な話(あくまでも私にとってのイントロ的な話)をしているうちに,本当に話したいことに辿り着く前に授業回数が終わってしまう,という授業もある私のことだから,これぐらいのことは大目に見ていただきたい。
 それはそうと,さーて,来週はどうするかな?って,3回目にして話すことがなくなったわけではない。話したいことはあるのだけれど,学生に提出してもらった授業の感想を読んだところ,どうも「科学」の話をせねばならないようだ。「科学」の話をするとなると「科学的認識」や「科学論」の話もせざるをえなくなって,そうなると,やれポパーだ,クーンだ,ゲーデルだとかになっちゃう。こんなことを話し始めたらそれこそ授業回数が終わってしまう。大事だけど心理学の話じゃないし。困ったなぁ・・・おお,宿題も出しておいたので,それも何とかしなければいけないなぁ。週末に考えよっと。TGIF。

 約1年ぶりの更新です。以前から書いておりましたブログの方はとつとつと更新しておりまして,こちらにはなかなか手が回りませんでしたが,できればこちらも更新していきたいと思います。


 後期の授業が始まってしまった。5連休のなせる技で,木曜日のスタートとなり,ガイロンからのスタートとなった。この授業では,たとえ学生による授業評価が芳しいものにならなくても,自分の好きなことを話そうと心に決めている(私の決心は弱いので,すぐ萎えるかもしれ ないが)。

 で,今日はシラバスに書いたことに加えて,(大学が決めている"お試し期間"であることも手伝って)テキトーなことを話した。学生の授業に対する感想文の中には,「初回からフルに授業をしましたね」という旨のものもあったので,90分間全部を使った授業をするとは思ってなかった者も少なからずいたかもしれない(そう言えば授業の途中に,他の教室から出てきた学生で廊下が五月蠅かった)。私としては,今日話したかったことの半分ぐらいしか話していないのだが。

 それは兎も角,今日のガイロンで私が伝えたかったメッセージの主眼は,「すべてを疑え!」ということであった。「本やインターネット上の言論はもちろん,(何事も疑ってかかることを生業としている)研究者(科学者)たる大学の先生の言うことなど信用してはならぬ」という主旨である。少なくない学生が(感想文の中で)「なるほど」とか「頑張ります」という反応を示してくれた。中には, 「そういう先生の発言も信用してはいけないのですよね」という旨の反応もあった。私の日頃の有りようを鑑みれば「その通り!」としか言えないのだが,そうなると,「ソクラテスが嘘つきなのか,プラトンが嘘つきなのか」という話(=自己言及のパラドクス)になってしまうので,沈黙をもって答えるしかない。 でも,そういう具合に考えられることは重要であると思うし,考えることの楽しさをこの授業で感じてもらえればありがたい。

 個人的には,たとえ嘘つきと呼ばれようがソクラテスになりたいし,できれば太ってもいたい。そんなことを思った授業であった。


 例によって続くかどうかわかりませんが,今後も,ガイロンの授業というか,学生の反応について,当欄で紹介していきたいと思います。

ノーマンじゃなくても

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 写真はガイロンをしている教室の照明用のスイッチ。

 前方の黒板に向かって,右側の列の照明が「南側」,左側の列が「北側」。で,その間が「中側」。でもって,その「中側」の列の照明用のスイッチが一番上。

 絶対にありえないデザイン。

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