コラーゲンはもてはやされている。コラーゲンたっぷりの食品は健康にいい,頭がよくなる,お肌がすべすべになる,と。
ところが。。。
1) 「体内に存在しているコラーゲンの総量は、ヒトでは、全タンパク質のほぼ30%を占める程多い。」と,特別のものではない。
2) 「蛋白質の一種であるコラーゲンはアミノ酸単体またはアミノ酸2-3個程度のペプチドまで分解されて吸収されるため、他の蛋白質を摂取した場合と変わりない。」
3) 「すなわち、コラーゲンを経口摂取したからといって、それが各種生体組織においてそのまま利用されることはない。」
言い換えれば,コラーゲンはタンパク質であり,タンパク質は消化の段階でアミノ酸に分解されてしまう。つまり,コラーゲンは身体に入ると簡単に分解され,他のタンパク質と同様なプロセスで吸収され代謝されていく。お肌すべすべ,ということはありえない。
と,実に味気ないものになる。
1)* コラーゲンは特別の物質だ。
2)* コラーゲンはそのままのカタチで体内のあちこちにいく。
3)* コラーゲンは皮膚の保湿成分であるだけなく,皮膚にうるおいとはりをもたらせる。
がいわゆるlay conceptだろうか。
ところが,
4) 「コラーゲンのアミノ酸組成は非必須アミノ酸であるグリシンやプロリンを非常に多く含む反面、必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンをまったく含まないなど、著しく偏っている」とのこと。
トリプトファン!
アミノ酸は豊富だがトリプトファンが欠落している食事を与えると,脳内のセロトニン量が急速に低下し,攻撃行動あるいはうつ症状が引き起こされたという実験結果がある(Kalat, p.159)。
簡単に図式化すると,
トリプトファン欠落 -> セロトニン合成できず -> 精神不安定(攻撃・うつなど)
ということになる。
スッポン鍋を食べ続けるとどうなるのだろう?豚足を食べ続けるとどうなるのだろう?
栄養たっぷり,お肌すべすべ -> 満足!,のはずが,全く正反対に,
お肌に効果なし,イライラがつのり,人によっては暴力衝動が生まれたり,深刻なうつ症状が現れたりする,ということになる。
なんと。。。。
健康食品に関する信念は心理学にとってもおもしろい研究テーマだと思う。
* コラーゲンに関するカッコ付き記述はウィキペディアからの引用。
** 本稿は,「コラーゲンたっぷりの豚角煮」を食べたあと,一人の先生(心理学の教授で女性)が,「これで明日はお肌がツルツル!」と感想を述べたことがきっかけです。
{追記:2/24} 朝のテレビをみていると,「ホルモン屋」が流行しているとのこと。で,管理栄養士の某さんが登場。ホルモンのメリットとして,エネルギー(カロリー)が少ない,脂肪が少ない,コラーゲンが多いという3点を強調していた。ひどい話しだと思う。第一に,食事のエネルギーを主食材だけで考えている。甘ったるいタレのことを考慮していない。第2に,脂肪の少なさとエネルギーの少なさは独立していない。第3に,コラーゲンがまさにコラーゲンとして吸収されるかのような話しをしている。こういうのを見ると,テレビとはホトホト怖いものだと感じる。
