2009年7月アーカイブ

The American Journal of Clinical Nutritionという雑誌におもしろい論文が掲載された。タイトルは:
Nutritional quality of organic foods: a systematic review
(有機食品の栄養特性:組織的なレビュー)

著者は:
Alan D Dangour, Sakhi K Dodhia, Arabella Hayter, Elizabeth Allen, Karen Lock and Ricardo Uauy

アブストラクトを見てみよう。まずは研究の背景:
Background: Despite growing consumer demand for organically produced foods, information based on a systematic review of their nutritional quality is lacking.
(有機食品の需要は高まっているが,有機食品の栄養特性に関するきちんとした情報がない)

目的:
Objective: We sought to quantitatively assess the differences in reported nutrient content between organically and conventionally produced foodstuffs.
(有機食品と一般的な食品とでは,栄養上のどのような違いがあるかを調べること)

方法:
Design: We systematically searched PubMed, Web of Science, and CAB Abstracts for a period of 50 y from 1 January 1958 to 29 February 2008, contacted subject experts, and hand-searched bibliographies. We included peer-reviewed articles with English abstracts in the analysis if they reported nutrient content comparisons between organic and conventional foodstuffs. Two reviewers extracted study characteristics, quality, and data. The analyses were restricted to the most commonly reported nutrients.
(1958年から2008年の50年に刊行された科学論文の中で両者を比較しているものを対象とした。)

結果:
Results: From a total of 52,471 articles, we identified 162 studies (137 crops and 25 livestock products); 55 were of satisfactory quality. In an analysis that included only satisfactory quality studies, conventionally produced crops had a significantly higher content of nitrogen, and organically produced crops had a significantly higher content of phosphorus and higher titratable acidity. No evidence of a difference was detected for the remaining 8 of 11 crop nutrient categories analyzed. Analysis of the more limited database on livestock products found no evidence of a difference in nutrient content between organically and conventionally produced livestock products.
(総数52,471の論文から該当するもの162を選び出した。内55が統計的な検討を行っていた。それら55の論文からいえることは,一般的な作物は窒素含有量が高く,有機食品はリン含有量と滴定酸度が高いと言うこと。それら以外の8つの栄養については差異が見られなかった。食肉で比較すると,有機で育てられた家畜と一般的な餌で飼育された家畜の間で栄養成分に差異は見られなかった。)

という内容。

 Amesが毒性比較をしており,有機野菜には「天然農薬」の生成量が多く,それらの発ガン性が高いことを警告している。

つまり,

 栄養効果の証拠なし,毒性については有機の方が「危険」かもしれないというデータすらある。あとは「おいしさ」だが,これはモノの話しではなくココロの話し。ということで,有機野菜(食肉)の謎はつづく。

(ちなみにYahooのhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090730-00000016-jij-intという記事には以下のように出ている:【ロンドン時事】農薬や化学肥料の使用を減らして作られた有機食品の栄養は、一般的な食品とほぼ変わらず、取り立てて健康に好ましい効果をもたらすわけではない−。英食品基準庁が委託した調査報告が29日公表され、消費者が抱く有機食品の効能とは反する意外な結果が明らかになった。委託を受けたロンドン大学衛生熱帯医学大学院が、過去50年間に発表された文献を精査した。13の栄養素のうち、ビタミンCやカルシウムなど主要10栄養素では栽培方法によって大きな違いは出ないとの結果が得られたという。食品基準庁は調査結果について、「有機食品を食べるなという意味ではなく、食べたからといって健康面でより優れた効果が得られる証拠はないことを示している」と指摘している。 )

試験結果は少々ショッキングなものでした。105点満点で採点をして平均点が54.7点。100点満点に換算すると半数以上の人が"D"になりました。。。

問題A, Bは一問2点で満点60点。問題Cは5点,問題Dは40点(論述ですので,ここで加点バイアスをかけました)で採点しました。

7月に提出させた「課題」を満点15点として加点しました。つまり120点満点です。その120点に対して,95点以上を"AA"として11名,85点以上を"A"として12名としました。受験者数121名ですので,"適正"な数字といえるでしょう。

問題はこれでも"D"がかなりでてしまう点です。まず120点を基準に50点以上65点までを"C"とし,さらに40点以上で出席率が60%以上の者を"C"とし,40点以下であっても30点以上あって出席率が80%以上の者を"C"としました。

B, Cについては,境界線上にあり,出席率が80%以上の者を数名A, Bのそれぞれにランクアップしました。

現在のところ:
AA 11名:よく頑張りました。試験対策もできていたようです。出席率も90%以上です。これからもしっかりと勉強を続けましょう。
A 15名:もう一息でした。とはいえ,僅差でAAにならなかった人もいます。これからも頑張って下さい。
B 64名:試験問題の予想がすこし外れてしまったようです。味覚(問題A),"ほう"食(問題D)で「失点」してしまった人が多かった。とはいえ「ほどほど」の成績と言うことで納得しましょう。
C 13名:試験の準備が足りなったようです。ほとんどの問題は「予告」していました。絶対評価をすると13人はほぼ全員がDとなります。出席状況,授業中の課題提出を考慮しCとしました。
D 18名:今のところ,Cへ「引き上げる」のは困難です。せめて最後の課題を提出しておれば10点近く(5点〜15点)の得点アップになったでしょう。出席率の高い人が数名いますが,この点数では。。。。

以上です。最終的には,少し時間をおいて,シラバス予告との整合性,評価全体の公平性から見直してから最終評価を提出します。なお出席率がゼロ(か50%以下)でも試験は60点以上という「つわもの」はいませんでした。

なお,最高点は103点(120点満点)でした。この人は試験だけでも91点(105点満点)をとっています。けっして得点できないような「むずかしい」問題ではなかったと思います。

追記(7/24):この授業にかぎりませんが,この数年,成績の分散がおおきくなっていくように感じます。一方にはデキのいい人たちがいて,他方には今ひとつの人たちがいます。今ひとつの人たちの全員が,必ずしも,やる気がなく勉学への動機づけが低いというわけではありません。このあたりが「授業をする側」からすると難しいところです。

 8月の終わりあたりから9月にかけては学会シーズンとなる。学会によっては学部生,院生の参加費を割り引くところもある。心理学研究の最先端を知るにはベストな場所だ。

 まずは日本心理学会。今年は8/26-28に立命館大学(衣笠キャンパス)で開催される。
 ちなみに,私は:
 26日 9:30-11:30 ポスター連名発表
 26日 9:30-11:30 ワークショップ話題提供
 26日 12:30-14:30 ポスター発表
 27日 9:30-11:30 ポスター連名発表
 と忙しい。
 (27日 15:00-17:00にもワークショップあり:WS081)

 また前日の25日は同志社大で日本行動科学学会の年次大会も開催される。
 「古典的条件づけの基礎と応用~行動、脳、態度形成、臨床的応用」というテーマだが,指定討論者が行動療法を専門とする開業医であることから,臨床応用の議論がおおきくなるだろう。
 http://www.jabs.jp/taikai.html


 さて,日本心理学会大会では,正会員であるわれわれの大会参加費が12000円であるのに対して,学部生はなんと3000円! 懇親会も一般会員が7500円であるのに対して,2000円だ。もうこれは「教育的配慮」以外のなにものでもない。

 あとは交通費と宿泊費。青春18切符(まだある?)や高速バスを使えば安く移動できるだろう。JRもあれこれと割引切符を出している。宿泊も,京都駅近くには2000-3000円で泊まれるところもあると聞く(ビジネスでも5000-7000円で泊まれる。2-3人同室にすれば結構いいところにも泊まれる)。

 思い出せば,私も,学部生の頃から学会に参加していた。宿も決めずに深夜に帰宅するつもりでいた時に,その時の指導教員がたまたまツゥィンの部屋だったことから空いているベッドを使わせてもらったこともある。夜は,先輩や教員の後ろをついていくと食事にありつける。食事の場(というかお酒の場)では他大学の教員・院生らと一緒になることも多く,盛り上がった議論の場に遭遇することがよくあった。また当時の私と同じような「心理学イノチ!」の学部生,院生と知り合うことも多く,その頃に知り合って,30年を過ぎた今なお交流のつづく「心理学仲間」も数多くいる。

 9月は,日本味と匂い学会(旭川),日本健康心理学会(東京),日本教育心理学会(静岡)などが開催される。ただ,広島からだと少々遠い。

 
 

 

 来週試験予定の「食行動科学」HPに掲載している資料の一部がDLできないとの連絡がありました。症状を確認しました。ファイルを白黒モードにして2.0Mまでサイズを落としました。こちらで確認するかぎりDLできます。

 なお,DLできるPDFファイルを開くためにはパスワードが必要です(授業中に言いましたね)。

 印刷,copy/paste,保存はできない設定にしています。

 うまくDLできないようでしたら,連絡して下さい。

宇都宮の不思議

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 餃子の町として知られる宇都宮。東京からは新幹線で1時間弱。在来線の快速にのっても池袋-宇都宮間は1時間9分。

 宇都宮名物は餃子だけではない。まずは「焼きそば」。今回は有名店でもある「I田屋」へ行く。野菜入りが基本で450円。これに目玉焼き,ハムがつけばそれぞれ50円アップ。さらに,豚肉がつけば100円アップ。今回は初めてでもありすべてが入った「ミックス」の「中」を注文。予想通りの素朴な料理だが,豚バラ肉の量の多さにはおどろかされた。100円アップでモトがとれるのかと心配になるほどの量だ。

 宇都宮は,カクテルの町としても知られている。「宇都宮カクテル倶楽部」には26軒のバーが加盟しており,比較的狭いエリアに店舗が集まっている。

 さらに宇都宮は,ジャズにも力を入れており,「宇都宮ジャズ協会」加盟店は20軒に及ぶ。不思議な町だと思う。

 一方で,喫茶店が少ない。ほとんど目にしないといってもいい。大阪を歩くといやというほど喫茶店を目にするが,それだけに町の雰囲気はずいぶんとちがう。

 ちなみに「宇都宮餃子会」加盟店は60軒は超えるようだ。ただこれは餃子専門店だけでなく,ラーメンなど餃子以外のものを出している店も含まれる。なので,歴史ある餃子専門店の中には(M嗣など)メンバーに入っていないところもある。

 あれこれとおもしろい町だが,やはり餃子が日常の食事に組み入れられている。そういう側面からみていくと,広島のお好み焼きと似ている。

 ホテルはJR宇都宮駅周辺と東武宇都宮駅周辺にある。繁華街は後者。ただ餃子店の多くは夜遅くまでは開けていない(20時から21時にほとんどが閉まる)。

小倉レトロ

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 5月に引き続き,再び九州に来ている。
 
 1) 丸星ラーメンけんざいなり:久留米の国道沿いにあるトラック運ちゃん御用達のラーメン屋。かれこれ25年ほど以前になるが,「九州豚骨ラーメン」を始めた食べた思い出の店である。大釜で豚の大腿骨や頭蓋骨などを強火で煮出している。どろどろの白濁したスープができあがる。それをヒシャクですくあげ,大きなアミジャクシで受けながらラーメンどんぶりに注ぎ入れる。アミジャクシは破断した豚骨だらけになる。熱々のスープでありながらとろりとしている。食べ終わった丼の底には豚骨の粉がたっぷりと残る。これで,なんと,一杯380円。チャーシューものっている。ちょっとすごいと思う。

 2) やわらか麺の皿うどん:長崎では一口餃子(なんと10個で300円!しかも皮は一枚づつ目の前で引き伸ばし,具を包み込むという手仕事)と皿うどん。皿うどんといえばぱりぱりに揚げた細麺というのが全国的に定番となっているが,長崎では,ゆでたチャンポン麺(太い)を軽く炒めて,その上にとろみのついたあんをかけるという食べ方がもよく知られている。「皿うどん,やわらかいの」と注文すると,長崎通になったような気がする。

 3) 別府温泉保養ランド:明礬温泉の一角にある大露天風呂。6種類ほどの風呂があり,圧巻は泥湯(一般呼称)。硫黄の匂いのする,生暖かい,どろどろの泥のなかに身を沈める。6種類の温泉をグルグルと回るだけで,1時間はあっというまに過ぎる。仕上げの温泉に入り,終了。あとは,古くさい畳間の休憩室に寝ころび,うとうとすればさらに1時間がすぎる。

 4) 小倉:すぐとなりの門司港は,大規模な造成で「昭和レトロ,門司」化に成功。多くの観光客を集めている。その象徴たるJR門司港駅は一見の価値あり。ここ小倉は作られた「レトロ」ではなく,そのまま「レトロ」の町と言える。JR小倉駅の駅前(南東方向)に「魚町銀天街」が伸びる。商店街にアーケードをつけた日本で最初のところらしい。その「魚町銀天街」をすこし歩くと,「鳥町食道街」という看板を見つけることができる。ここに日本の焼きうどん発祥の店「だるま堂」がある。

 4-2) 焼きうどん:この3-4年の話しではないかとおもう。全国的に「B級グルメ」が注目されるようになり,静岡富士宮の「焼きそば」,秋田横手の「焼きそば」,などなど,それを目的に観光客が集まるようになってきた。小倉は「焼きうどん」と「鉄鍋ギョウザ」である。そして観光客は,今も営業中の「だるま堂」にあつまる。

 4-3)赤ちゃん食堂:たまたま「だるま堂」は昼休憩だったのか,のれんがおろされていた。われわれは(このときは男性一人と一緒),それではと,同じ「鳥町食道街」の中にある「赤ちゃん食堂」に入った。創業昭和20年の看板通りの店構え。でてくる料理も60年前とほとんど変わっていないのではないかと思われる「レトロ」なもの。焼きうどんを二人でシェアーし,私はハンバーグライスを注文。予想通りの大正解。ドミグラスソースはさらりとシンプルな味付けで,最近の業務用ドミグラスにあるようなごちゃごちゃした複雑な味にしていない。そのような業務用缶詰を使用する方が,楽で,安上がりに違いないのだが(小さな店でもあるし),(たぶん)昔からのやり方で時間をかけ作っているのだろう。実に,心安らぐ料理を食べさせてもらった。ちなみに焼きうどんは450円,ハンバーグライスは700円。

 4-4)反省:今回の「お仕事」は,長崎と小倉での講演がそれぞれ一回づつ。九州は大好きなので,ついついいろいろなところに寄って,いろいろなものを食べてしまう。最近の「お仕事」は肥満対策,過食の心理といったものが多い。その講演者が年々メタボの道をつきすすんでいる。今回も,安くて「おいしい」ものの食べ歩きのような結果となった。反省,反省。