とうとうというか,やはり,というかメキシコ発の豚インフル発生が大ニュースとなりました。BSE(牛),鳥インフルエンザにつづき,豚まで。。。
豚は病気に弱い家畜といわれています。調べてみると,マイコブラズマ性肺炎,萎縮性鼻炎,豚赤痢,オーエスキー病,トキソブラズマ病あたりがよく知られており,飼育にあたっては抗生物質の投与が一般的。さらに,豚コレラウイルス,ニューカッスル病ウイルス,腸管に潜むサルモネラ菌などもあります。
今回は人へ感染し,重篤な健康被害をもたらせる新型ウィルスということで大騒ぎとなりました。
食の安全に関心をもつ専門家の間では,予想されたことでした。次は「豚」だと。まるで昨年の(今も引き続く)全世界に波及した金融危機と同様に,「悪い予感」があたったというところでしょう。対処法については十分に準備されていたので,行政は日本でもテキパキと動いています。
問題は「原因治療」です。それでなくても病気に弱い豚を,大急ぎで,なんとか太らせ,機械的にとさつ解体し,食肉として出荷するというシステムに原因がある。ウイルスのレベルの問題ではなく,大量生産するというシステム上の問題が大きい(はずな)のですが,そこにはなかなか立ち入れない。
「それでなくとも病原菌ウジャウジャというのが豚肉です。皆さんは,これまでも,しっかりと火をいれて食べてきたはずです。生で食べるということをしないかぎり,豚肉から感染するということはありえません」が,一般的な説明だろう。その通りだと思う。
ただ,どの程度タフなウィルスなのかがわからない。解体された生肉に付着し,その生肉(あるいはパック材)を経由して人に感染する可能性はないのだろうか?
卵のサルモネラ菌は,卵の殻や卵を入れるケースからの感染が多いという話しをきいたことがある(栄養学の先生から)。鳥インフルエンザも羽毛が感染媒体になるという。今回の豚インフルエンザはH1N1型らしいが,感染経路,ウィルスのタフさについては確定した話しはでていない。
肉そのものは焼けば(熱すれば)大丈夫。そこに嘘はない。しかし,豚肉の運搬,調理のプロセスにおける感染の可能性は「否定」できるのだろうか?もし「否定」できないなら,嘘になる。
どだい食の安全など「証明」できない。帰無仮説は「証明」できないのだから。それ故に「安全だ」「安全だ」といえばいうほど,「不信」がつのる。食物(特に豚肉)はもともと「危険」なものであり,だから正直に,「新たな危険が加わる可能性は(今のところ)かぎりなくゼロです(あるいは不明です)」と言えばいいのだ。かつて,感染経路の不明な段階で,カイワレをほおばった大臣がおり,今も豚肉をほおばる大臣がいる。政治家はどうも「凡人の知恵(Lay person's Wisdom)を甘く見ている。
食の安全を主張すればするほど食の不安は大きくなる,という実に簡単な話。このことがよくわかっていない。
「これは今日,メキシコで解体してきたばかりの新鮮な豚肉です。おいしいですよ,これから豚テキにしますから一緒に食べましょう!」と言われるとどうしますか?
