学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。
赤い文字が見にくい、進行が速くてノートが取れない
これらの苦情、要望がいくつかあった。スライドの色についてはすぐに改善できる。進行の速さについては「ちょうどよい」という意見も複数あり、調整が必要。学生にはもっと効率的なノートテイクを要求する。教科書に書いてあることなら教科書に赤線を引けばよい。
>の意味が分からない
「→」の代用として使っている。
手元が暗い
これは僕もどうにかならないかと思っているが、使っている教室の仕様がウンコなため、「教室の一部分だけ照明を落とす」という当たり前のことができない。
「今日はセクシュアルな内容があるので苦手な人は注意」と一言言ってほしい
進化心理学の話はほとんどがセックスの話。なので、「この授業では毎回のようにセクシュアルな内容があります。苦手な人は履修をやめたほうがいいかもしれません」。一応表現には気を配っている (実は結構たいへん!)。
男の方がいいと思った、など
そんなことはない。女が子育てしている間に男は浮気をしているかもしれないが、男が養っている子どもはその男の真の子どもではないかもしれない。それに浮気がばれた男がどれだけひどい目に遭うかは、だいたい想像ができよう。男はそのリスクを背負って浮気をしているのだ。進化心理学における性淘汰の話のうまみは、このようなオスとメスの駆け引きにある。
女性は子どもを産んだり男性の性欲を満たすためにいる気がして気持ちが萎えた
これまた勘違い。女性はどんな男性が自分を裏切らずに子どもを養ってくれるか見極める能力を発達させている。従って、基本的に不誠実な男はもてないし、相手を選ぶのは女性の側になる。男性はむしろ選ばれる側で、男性から見ると相手を選べる女性はうらやましい、ということになる。進化的には男女は全く対等の関係である。
デリケートな問題をすべて論理的に説明されるので困惑した
確かに文化的な規制のかかりやすい領域ではある。けれども、人間の行動には必ず道理があり、従っている原理がある。その原理を生物学的な見地から明らかにするのが人間行動進化学 (あるいは進化心理学)。その原理がわれわれの日常的な理解と乖離していることも少なくない。ここらへんのズレを楽しむのが、この講義をおもしろく聴くコツ!

この数年,福岡伸一さんがブレイクしています。「生物と無生物のあいだ」も「生命と食」も,実におもしろい。最近,「できそこないの男たち (光文社新書 371)」がでました。まだ読んでいませんが,宣伝文句が「地球が誕生したのが46億年前。そこから最初の生命が発生するまでにおよそ10億年が経過した。そして生命が現れてからさらに10億年、この間、生物の性は単一で、すべてがメスだった。<生命の基本仕様>----それは女である。本来、すべての生物はまずメスとして発生する。メスは太くて強い縦糸であり、オスは、そのメスの系譜を時々橋渡しし、細い横糸の役割を果たす"使い走り"に過ぎない----。分子生物学が明らかにした、男を男たらしめる「秘密の鍵」。SRY遺伝子の発見をめぐる、研究者たちの白熱したレースと駆け引きの息吹を伝えながら《女と男》の《本当の関係》に迫る、あざやかな考察。」というもの。時々,ちょっと大丈夫か?と思わせる展開もありますが,文章はうまいし,確かな経歴なので,この本もひきづりこまれてしまうでしょうね。
福岡伸一氏というのはどういう方が存じなかったのですが、ちょっと調べるとラマルク説を持ち出して進化論を批判しているあたり、ちょっと危うい人なのかな、という印象を持ちました。ラマルクが誤りだったなんてことはどんな進化生物学者にとっても常識なので……。でも、その本はおもしろそうですね。手に取ってみる必要がありそうです。
はじめてコメントさせていただきます。
「進化的には男女は全く対等の関係である。」これは仰るとおりで凄く重要ですよね。でも進化生物学を理解していれば理論上自明ですが、なかなかそう面と向かって言われる機会は少ないように感じます。先日邦訳がでたマーレン・ズックの『性淘汰』でも同様のことが述べられていて、そのフレーズを読んだときにちょっと新鮮に感じました。両性間の共進化とか進化的軍拡とか、強調しないと伝わりにくいのかも知れません。
福岡伸一氏はたぶん比喩表現なのだと思いますが、女性賛美が過ぎるというか・・・。『できそこないの男たち』の論調は「男女は進化的に対等な関係ではない」と受け止められやすく、危ない人、誤解を広める人という認識で間違いないような気がします。
コメントありがとうございます。この授業は結構誤解を招きやすい内容を含むので、そこらへんが難しいですね。ズックの『性淘汰』はまだ読んでいないので、さっそく取り寄せてみます。
#同業者の方でしょうか?