2010年5月アーカイブ

 今春大学に入学した新入生たちにとっては、あっという間の1ヶ月であったことであろう。入学して1ヶ月、新入生が思い悩むいくつかのことがある。

 まずは通学に関すること。新入生の多くが高校時代までと比べて通学時間が長くなる。さらにそれに追い打ちをかけるように電車やバスの混雑。長時間の通学や混雑に慣れていない今はそれだけでもヘトヘトになる。また、はじめてひとり暮らしをはじめた学生たちは、食事や洗濯など日常の生活ひとつひとつがおっくうになる。この生活がずっと続くのか。。。

 次に履修に関すること。何が必修科目で何が選択科目なのか。専門科目は何を履修すればいいのか。授業についていけるのだろうか。単位は取れるのだろうか。自分で履修する科目を選択できる自由を得た反面その責任を負う怖さを実感している頃である。そもそも、大学入学というひとつの目標を達成し、ぽっかり穴があいた状態であっても不思議ではない。場合によっては、自分はこの大学でよかったのか、自分がやりたい学問だったのかという根本的なところで立ち止ってしまうこともある。

 そして対人関係に関すること。話し相手がいない。誰に声をかけていいかわからない。友達ができるだろうか。。。新入生からの切実な声である。新入生同士で既知の話し相手がいる場合はいいが、知り合いが全くいない場合は、楽しそうに話しをしたり相談しあったりしている集団がうらめしくもあり、その集団の楽しそうな声に孤立感は強まるばかり。そうした集団に声をかけたくても、割り込むのは悪いような気がするし、入り込もうとしてもどのように声をかけていいのか、何を話題にすればいいのか、考えれば考えるほどひとりであることの寂しさ、むなしさがこみ上げてきている学生も少なくない。


 このような強烈な環境の変化にさらされて1ヶ月。張り詰めている緊張の糸が今にも切れそうな状況の中、新入生たちは懸命に踏ん張っている。そのような新入生たちは、今は"がんばらない"で欲しい。また周囲の人も新入生に対して「がんばれ」という言葉を使わないで欲しい。励ますつもりで何気なく声をかけた「がんばれ」のひとことが、緊張の糸を切ってしまうことがある。「入学してずっとがんばってきた。まだがんばらないといけないの?。もうこれ以上がんばれない」。。。俗にいう『五月病』である。
 もし「がんばれ」と声をかけたくなったら、「何か私にできることがある?」と声をかけてみて欲しい。「がんばらなくてもいいんだよ」「あなたの傍にいるよ」というメッセージは、今の新入生にとって何よりの勇気づけになる。今はしんどいけれど、がんばらないでで少しずつ慣れていけばいいのだということを新入生自身が気付いてくれる。


 入学後1ヶ月経過して大学生活に少し慣れた頃のゴールデンウィーク。久しぶりに現実から離れて親元でゆっくりできたことであろう。旧友ともゆっくり話ができたことであろう。現実から一時隔離してくれたゴールデンウィークが明けるとまた少し不安定になる時期が来るかもしれない。しかしその時期を"がんばらない"でやりすごせば、少し"おとな"になった大学生になっているであろう。

2010年5月

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